こうして否応なしに頭を空っぽにさせられる作品を劇場で目の当たりにできたことが何よりも良かった。幾度かあった、鳴り響く静寂だけがどうも忘れられない。
自分たちと同じ(はずの)人間を睨みつけるあの目々の迫力に気圧されて、思わず涙をこぼしていた。理由も分からずに苦しくて、声にならない息を何度もゆっくりと吐き続けていた。ひどく苦しかった。
思い返せば、作中、何度も視線を落としていたような気がする。
民族が 地が背負っている業という呪縛の継承、わたしは必要だと思う。何が正義なのか悪なのかではなく、ただ事実として、遺されていくべきものであると思う。この作品を観て何を感じたか、の率直な感想はここまでで、もうこれ以上は何を紡ごうとしてもコーティングされた言葉にしかならなそうなので、この心に生まれた空虚をただ受け止めることにする。この空虚こそが何よりも得た感情だった、
