弱く群れる人間の過ちの歴史、そして現代…はたして未来は？
数の理論。多数対少数の局面で、自分の意思・考えもないまま多数派についたこと、きっとあなたにもあるはず。そんな私たちが見るべき、(荒井晴彦っぽさはすごくあるけど)避けがたく力強い作品。長回しも圧巻な井浦新、美しく心の拠り所となる田中麗奈、そして行商人の一団を率いる瑛太筆頭に役者陣がいい痛烈な群像劇的社会派歴史ドラマ。集団心理と相対して、作中で度々出てくる不貞関係。
国主体で根も葉もない噂、というより嘘(ホラ)を広めては、先入観だらけ無知無理解のまま憎悪(ヘイト)だけをためては何かのキッカケに爆発。そして、捌け口・矛先として虐殺、最悪の結果へ…。"鮮人(せんじん)"。百聞は一見にしかず。排他的村社会が映し出す現代社会の闇にメスを入れる。みんなそう言ってたからな〜、鮮人じゃ。朝鮮人なら殺していいのか！ズレた論点。名前がある。
群れる社会性で異質排除。本人たちに悪気などないことが一番怖い、おそろしいことだ。人間心理の狂気、その正体と過程。何もしないは加害者と一緒、共犯。だから、たとえそれが難しくても過酷でも声を上げて、人として正しいことをできる人であろう。なろう。ならないと、流されたくない。そこに今これからへの未来に託せる望みはあるのか？
