くもぷわ

ベルサイユのばらのくもぷわのネタバレレビュー・内容・結末

ベルサイユのばら(2025年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

これは盛大に作られたベルサイユのばらのダイジェストムービーであり、この作品を鑑賞したことをきっかけに、素晴らしい原作漫画を最初から最後まで全部読んでもらうことを目的としたものであると私は判断した。
皆さんの言うとおり、ベルばらのストーリー全てをたった2時間の映画に閉じ込めることは不可能である。
デュバリー夫人とのバトル、ロザリーとの出会い、ポリニャック伯夫人、首飾り事件、黒い騎士、ディアンヌ嬢の悲劇、三部会、そしてアンドレとオスカル死後のアントワネットとフェルゼンのストーリー。どれも欠かすことのできない重要な、物語を彩る部分である。でもこの映画では一切描かれない。
ロザリーでさえあんな一瞬しか出てこない上、アンドレが失明したのもなぜかド・ゲメネ公爵との事件のタイミング。
まあ2時間しかないから仕方ないかという感じ。よく2時間に収めたなという気持ちもある。
この映画では、恋愛要素がやや強めに描かれており、初めてベルばらに触れる鑑賞者にとっては、やや原作とは違ったテイストの印象を受けるのではないかと思う。
しかし本来の原作漫画は、恋愛要素ももちろん重要であるけれど、それ以上に、フランス革命期の激動の時代を生きたそれぞれの立場のキャラクターの心情や苦悩、「人とは何なのか」を問われるような、「人間の生き方」を強くテーマにした作品である。
それはとてもこの2時間の映画では描ききれない。

それにしても声優さんはキャラクターにとても合っているし、少しミュージカル調になっているのも私は好きだった。
仮面舞踏会のシーンは魅せ方が本当に上手くて、グッと引き込まれた。
アンドレが撃たれたシーンで静かに涙したが、もし家で1人で見てたら嗚咽してたと思う。

長々と語り収拾がつかなくなってしまったが、とにかく私が言いたいのは「これを期に4期くらいのアニメを制作してください」ということです。
令和のこの時代に、大変美しい作画でベルばらを蘇らせてくださった製作陣の皆さんには感謝しかありません。
どうか若いベルばらのファンが増えますように。

ベルばらに人生を狂わされた30代の人間より。
くもぷわ

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