はる

正欲のはるのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

映画としては悪くはないけど…。性欲がテーマの割にレーティングはPGですらないし、ちょっと表現がぬるいというか…。性欲を描く割には生臭さがなさすぎて、空々しさを感じた。

以下はもしかすると、原作に対する文句なのかもしれない。

なんていうか、出てくるほぼ全員に対して「生きづらいです」って言われても…という気持ちで見てしまった。自分以外の人が、本当は何を考えているかなんて分からない。何の苦しみもなさそうに見えている人でも、何かに思い悩んでいるかもしれない。同じ人間に恋愛感情を抱けている人には何の苦労もなく、この世界で楽しく生きているんだろう、としか考えられない主人公たちが傲慢に思えた。そんなに悲劇の主人公気取られてもなあ…という気持ち。特に新垣結衣演じる夏月に対して、それを感じた。たまたま出逢った同級生に結婚式用の動画を頼まれて嫌そうにしたり、「産まれてくる子どもの誕生日が自分と同じ日になりそう」と言われただけでムスッとしたりするのには、「繊細チンピラ?」と思ってしまった。「いつ結婚するの?」「いつ子ども作るの?」と聞いてくる人は無神経だとは思うが、別に異性と恋愛して結婚して子ども作ること自体は罪でも何でもないだろう。自分が勝手に傷付いているだけで。元クラスメートや母親に対してストレスを感じるなら、実家なり地元なりを出ればいいだけの話なのだが(経済的にそれができないようにも見えるが、ここらへんの情報が少なすぎてよく分からん)。

あとは三十代でセックスの仕方すら知らない、なんてことあるかね?自分たちのセクシャリティが普通ではないかもしれない、という疑問を抱いて焦ったら、AVとか見て本当に自分は人間に性欲を抱けないのか、自分も普通になる方法があるかもしれない、と奔走するような気もするんだけど…。あとAVは観たことなかったとしても、映画やドラマのワンシーンとかで見る機会あると思うんだけど…。

「抱いちゃいけない感情なんてない」と作中で言っていたが、小児性愛とかについてどう思っているのかの明言がないのは少し気になった。まさか肯定する意図はないとは思うが。
この映画に限った話ではないけど、ちゃんと出演する子役への配慮はされているのかも気になったし、明らかに性的な意図をもって映された子どもを静止画や動画で見せてしまっていいのだろうかと気になった。本当はああいうの、映すことすらしちゃいけないんじゃないの?

広島育ちとしては、広島弁のまずさも気になってしょうがなかった。アニメの「この世界の片隅に」の広島弁レベルの高さは…やはりはずれ値なのですね。

性欲がテーマで、「正しい」「普通」とは何かをテーマにしている割に踏み込みが浅すぎて、ものすごく中途半端な印象だけが残った。
はる

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