こんなに真摯な実写化ってあるんだ。
原作は個人的には朝井リョウの最高傑作と呼べるくらいに素晴らしくて、実写化が怖かった。
同じように原作に反応して実写化を敬遠してる人たちにこそ観てほしい。
新垣結衣、稲垣吾郎、磯村勇斗。
このキャストありきでの実写化なんだろうな、と思ったけれど違った。
長年に渡って大衆から愛されるガッキー、話題作に次々と出演し、今をときめく磯村くん。
圧倒的にマジョリティの支持を得ている二人がマイノリティを演じること、そして一人じゃなくなること。
国民的アイドルの中でも一風変わったマイノリティ的キャラクターのゴローちゃん。
パブリックイメージと離れた、マジョリティを演じること、そして一人になっていくこと。
キャスティングにも意味を感じる、素晴らしい映画でした。
確実に、朝井リョウの実写化史上一番良かった。と言い切れる！
あんなにコロコロ変わる視点をテンポよく繋いだ脚本も演出もすごい。
一人で果てたガッキーをタイトルバッグにする意地の悪さも、好き。
私はちゃんと、原作を読んだ時と同じ気持ちになった。
異なる点といえば、実写化のせいで欲が出てしまった。
原作を読んだ時、私の理解者は朝井リョウしかいないのではないか？と思った。
同時に朝井リョウは沢山の視点で人の深い所に潜り込んではまたすぐに次へといってしまうもわかっていた。
だから孤独を受け入れた。
でも今回、すごく真摯で誠実な実写化を観て、私も誰かと手を組みたくなってしまった。
それはきっと、今付き合っている彼氏ではなくて。
愛とかなくていいから、手を組んでくれる、一緒に生きてくれる人が欲しい。厄介な欲が出てしまった。
