正欲のせがみのネタバレレビュー・内容・結末

多様性って昨今よく言われるけど、いまいちピンときてないわたし。世の中には「普通」ではないといわれるようなマイノリティな趣味嗜好があって、それはわたしたちの予想もしてないないようなものもあって（今回の水フェチも知らなくてびっくりした）。でも「普通」ってなに？マイノリティなひとたちは「普通」じゃないの？「普通」のひとみたいに働いて、生活しているのに？何が正しくて何が正しくないのか。考えさせられるような映画だった。正しい、欲。すばらしいタイトル。

夏月（新垣結衣）と佳道（磯村勇斗）が、出会えてよかった。恋愛関係ではないのに、もっと強い結びつきをもっている。佳道のセリフ「ひとりじゃないといいね」に強く同意する。それにしても夏月の言う、地球に留学しているみたいな感覚というのがわかりやすくて、でもその分衝撃だった。夏月の伝言、「いなくならないから」は生きづらかったこの世で唯一見つけた理解者へのまっすぐな気持ち。一方、「普通」だった啓喜（稲垣吾郎）は家族を失った対比、ニクい。

啓喜と、夏月の職場の妊婦さん（徳永えり）、わたしもあちら側にならないよう気をつけたいなと思った。自分の価値観の押し付けはよくないね。違う人間同士だから、わかり合うのってとても難しい。でもだからこそ、わかりたいと思う、その姿勢が大事だよね（おかえりモネの菅波先生に学びました）。

追記：
別れる間際に一緒に観に行った当時の彼氏は、この作品を観て「佳道のセリフの「ひとりじゃないといいね」に同意する」と言ったわたしの発言を鼻で笑った。悲しかった。今の彼氏は配信でこの作品を観て、「生きづらさを感じる人の支えとなる作品であればと願うばかり」と言った。同じ映画を観ても感じることは人それぞれだけど、この作品を観てこの感想が出てくる彼氏が素敵だなと思ったし、素直にうれしかった。自分語りごめんなさい、でもどうしても残しておきたかったのでここに書いておく。