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正欲のBusceoのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.4
「原作読んでるとイマイチと言うならば、そのイマイチさを確かめるぞ!」と意気込んで見てきました。前半は「あれ?これ寺島しのぶ?違う?あれ?」と目を凝らしながら。

別に原作に忠実かどうかを求めているわけじゃないし、そもそも原作も特に好きな作品ではないんだけど、原作は所謂「性的マイノリティの孤独感、世界との繋がれなさ」と共に「多様性多様性って許せる性志向許せない性志向を私たちが選んで認めてあげましょうってなんなんだよそんな上から選ぶ多様性なんてクソ喰らえだ」の二本立てで、後者があるからパンチのある作品になってたと思うんだけど、この映画は後者をバッサリカット。その結果原作でも感じられた粗ばかりが気になる作品になっちゃってた。

粗を上げるのが大好きなので思うがままに上げますと、水に関するオカズ映像割と豊富にありそうだよなとか、性志向としての、性欲対象としての水なので綺麗な水飛沫キラキラ撮ってるけど二人とも「うおー早く股間弄りてえ」と思ってるんだよなとか、そう思うと滝を前に見つめ合う二人は「これ、めっちゃヌケませんか」「やばいたまんないっすムラムラします」という視線を交わしてんだよなとか(まあこの辺は初めて同じ性志向の同志を見つけたんだからしゃーないんだろうけど)、水性愛は誰にも迷惑かけてないのにってとこを強調するためなのかもしれないけど幼児性愛を悪として強調しちゃうと「LGBTQ以外の、マジョリティに認めてもらえていない性的マイノリティ(幼児性愛を性的マイノリティに加えるかどうかが最近めちゃくちゃ揉めてたからこそ)の生きづらさ」を描いた作品として無茶苦茶ブレないかとか、原作を改変した部分のせいで稲垣吾郎が無能検事にしか見えないし妻がお気持ちヒステリック妻に見えちゃうのも残念とかYouTubeってメッセージ送れるっけ?とか(これはわからんけど)ですかね。あと夫を「あなた」って呼ぶ妻ってまだ現実で会ったことないな。デヴィ夫人かよ。

父親としての吾郎ちゃんみたいな人には職業柄めちゃくちゃよく会うんだけどこういう人はきちんとロジカルに説明すると割とすんなり納得してくれてすんなりサポーティブになってくれたりもするんだよな。

良かったところは原作で富田望生のイメージだった八重子役の東野絢香さん、あと白鳥玉季さんの存在感。佐藤寛太さんはちょいちょいジャンポケ斎藤に見えてしまった。

みたいなことをウキウキ書きたくなるという意味で見に行って良かったです。吉祥寺プラザ無くなっちゃうの寂しい。上のバッティングセンターが無くなっちゃうのもめちゃくちゃ寂しい。
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