ゆき

正欲のゆきのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.9
ここに居ていい

原作読了。映像で体感するとまた違う後味だった。
「多様性」という都合の良い言葉が蔓延る前からきっと嗚咽してしまうような気持ちの悪さは存在していた。誰かの現実を観た気がする134分。
正義を両手放しに振りかざす主人公と、家族にも自分の本音を悟られないように暮らす人たちの対峙。
普通なんてないはずなのに、「あり得ない」とされる嗜好は何かに紐づけられて、区分分けされる。
笑顔が増えていくほど、不安はどこか膨らんでいく。
「生きるために手を組む」という表現が印象的かつ希望でもあった。
正直、気色悪い演出も多い。でも誰かといるためのそれぞれの足掻きを目の当たりにして、逃げないことの脆さと強さに感情が揺さぶられまくりました。
帰路までずっと余波で満たされてた。
岸善幸監督×脚本 港岳彦のコンビがツボ過ぎる。
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不登校の息子の将来に不安を抱く検事の男。妻との関係性も良くはない。過去の秘密を共有する存在と再会し断絶した世界に少しの希望を抱く女。誰にも心を許さない大学生。それぞの人生が交差することとなる。
ゆき

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