ももいろりんご

戦場記者のももいろりんごのレビュー・感想・評価

戦場記者(2022年製作の映画)
3.5
現在もTBSテレビに在籍、ロンドンを拠点に活動する特派員・須賀川拓さんの監督、ドキュメンタリー。
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 = Introduction = *公式HPより
情報が氾濫する社会で、日々のニュースの波に押し流され埋もれていく真実。TBSテレビ特派員にして、今やYouTubeでも注目を集める“戦場記者”須賀川拓。
須賀川が抜群の行動力と分析力でガザ、ウクライナ、アフガニスタン、戦地を徹底的に歩き、人々を見つめ、浮かび上がらせる戦地のリアルは、私たちに「対岸の火事ではない」戦争の残酷な現実を突きつける。激動と混沌の時代に生きる私たちが今観るべきドキュメンタリー映画が誕生した。
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須賀川さんについては全く知らず…えぇ!TBS!?組織に所属のテレビマンが取材内容をネットに投稿したり、映画作ったりするの?と少しびっくり。
肩書はJNN中東支局長。と言っても部下なしの1人体制だそうで、中東、ヨーロッパ、アフリカ、アジアと地球の約1/3というエリアをカバー。常に紛争地の最前線にいる。
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本作は、2022年3月TBSドキュメンタリー映画祭で上映された「戦争の狂気 中東特派員が見たガザ紛争の現実」をベースに、様々な地域からの戦場レポートをさらに追加。バリバリのテレビマン日本人記者が写す”戦場の今”とは。
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危険地帯をいく。
パレスチナ暫定自治区ガザ。赤外線カメラを備えた軍用ドローンが飛び、マンションの一室を狙うことが可能な空爆の精度を持つイスラエル軍。対抗するハマス。その日常に暮らす人々。
未だ戦地のウクライナ。チョルノーブィリ原発に線量計を見ながら迫り、撤退したばかりのロシア軍の爪痕を確認する。
アフガニスタン市街。橋の下で暮らすものすごい数の人たち。粗悪なヘロインなどの薬物が蔓延り、隣で人が死んでいても誰も気にしない。国も見て見ぬふりをする見捨てられた町。
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戦争って、どっちが正しいとか、悪いとか、正直、わからなくなる。早く終結したいって、どの口が言うんだろう。爆撃で破壊された町を目にしたら大義名分は吹き飛ぶ気がする。それぞれが正義を主張し、情報は錯綜する。
それを報道する難しさ。今流れてる映像はホンモノ?情報は選ばなければ行けない世の中で、とにかく、現地に行く、見て、確かめる。その思いなのかな。
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須賀川さん、やってることは「偽善」だと言う。報道は人を助けない。その行為が直接人を助けることはなく、お金(生活)のためでもあるから…その無力感と葛藤が言わせるのでしょうけど。そんな言葉は使わなくていい。
「戦場を見たいというよりは、そこに生きる人々の顔が見たい」それで充分じゃない?
その時そこにいる人たちの顔、表情を発信すること。その意味はある。その意味は重く、受けとめる私たちに訴える。評価があるとすれば、その先の私たちの行動しだいなのだ。