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西部戦線異状なしのIbeのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
3.5
戦争をリアルに描いた作品。あまりにリアル、というか淡白すぎて、登場人物の感情を読み解くことを映画の楽しみにしている自分にとっては少し味気なかったかな。一方でご時世柄「戦争」というテーマについてはいろいろと思いを巡らせてしまった。

これまでこの手の戦争映画を観た後は、凄惨な戦場や残された人々が背負う悲しみに気圧されて「絶対に戦争はしてはいけない」という教訓が強く胸に刻まれてきたけど、今の自分は絶対に戦争をしないと誓うことに疑問符が浮かぶ。
昨年までの自分なら否応なしにそう言えたと思う。なぜなら戦争は政治や民族、宗教的対立を解決するための手段に武力を選ばない限り起こり得ないと考えていたから。
でも今年、ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにして、自分の国や家族を守るための戦争が現実に存在することを知ってしまった。
海に囲まれたこの国においてその可能性は限りなく低いけど、もし他国からの侵略が起きた時、果たして自分は「絶対に戦争をしてはいけない」という誓いを守ることができるのだろうか。そしてここまで考えて気づいた。この疑問って憲法9条改正の議論に通じるものがあるなと。

文頭で味気ないとか言ったけど結局いろいろと考えさせられる良い映画でした笑
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