千年女優

西部戦線異状なしの千年女優のレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.0
サラエボ事件にきっかけにして第一次世界大戦が勃発してから三年後の1917年。友人と共にドイツ帝国陸軍に入隊した17歳の青年で、イギリスとフランスを中心とする連合国と激しい銃撃戦を繰り広げる西部戦線に配属されたパウル・ボイメル。後に「異状なし」と報告される戦いの中で一人の兵士が体験する過酷な日々を描いた戦争映画です。

これまでアメリカで二度映画化されて特に1930年版がアカデミー賞作品賞を獲得するなど絶賛されたドイツ人作家エーリヒ・マリア・レマルク執筆の同名小説を、ドイツ人監督のエドワード・ベルガーが英語ではなく登場人物の母語ドイツ語で映画化したNetflix作品で、古典の見事なリメイクが絶賛されて多くの映画賞にノミネートされました。

ロシアのウクライナ侵攻で世界に激震走る2022年に、同じ欧州の地で起こった無慈悲な戦争の在り様を映す古典をアップデートして描くことで力強く反戦の意志を示す作品で、かつてと同様に「告訴でも告白でも冒険でもない死に向き合う人間」をまざまざと描きます。一兵卒の死など異状ではないとする戦争の異常を知らしめている一作です。
千年女優

千年女優