誰もが知っている映画監督スティーブン・スピルバーグの少年から青年時代を描いた本人監督による自伝的映画。このアプリでレビューを書くくらい映画好きな人は絶対に見ることをオススメしたい。
初めて自分が映画館で映画を見た時はいつだったか何を見たかも忘れたがその衝撃は誰もが一度は味わったことだろう。少年サミー・フェイブルマンにとって汽車と車が激突するその衝撃は計り知れないもので、その後の人生を幸か不幸か運命づけてしまった。
家庭内で常にカメラを回しては、所属するボーイスカウトのメンバーの協力のもと本物の映画さながらの完成度で制作してしまうのだから末恐ろしい。そんな彼も家庭内では芸術肌で自由奔放な明るい母と科学肌で論理的な穏やかな父の間のある問題を抱え、さらには引越し先の学校でイケてる男子グループにいじめを受けたり、様々な傷を受けながらもすくすくと成長していく。趣味を超えたライフワークである映画を撮ることだけはやめないでくれ、という周囲の思いとは裏腹に本人は映画は時に見たくないものをと映してしまうためかフィルムに対して嫌気がさす。それでも彼は生涯映画を撮ることに情熱を捧げる宿命だったのだろう。最後のある映画監督との出会いはこの作品の象徴だ。
あらゆる瞬間を様々な角度から映しそれらを繋ぎ合わせて一つの画を作ることの労苦は実際に映画を撮っている人にしかわからないが、観客は映画を鑑賞することでその興奮や痛みを多少は共有できるし、その感情の連鎖がまた新たな作品と感動を産む。サミーの母が言うように「出来事には意味がある」のだ。良いことも悪いことも映画のような人生はto be continued...とまた続いてくのだ。
