ヒデ

フェイブルマンズのヒデのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

「あの子には"衝突"が必要なのね。何かを自分の思うままにしたいのよ」

巨匠スピルバーグの自伝的映画。

人生初の映画『地上最大のショウ』を観た日の衝撃、8mmカメラに没頭した幼少期、両親とその親友ベニーとの思い出、罪を犯した母親との諍い、ユダヤ人差別に苦しんだ高校生時代、映画業界に足を踏み入れるまで…など、スピルバーグの赤裸々な思い出が描かれる。

キャンプの映像のフィルムを編集しているときに、母親とベニー(父親の親友)が不倫関係にあることに気づくシーンはキツい。そしてそれをクローゼットの中で見せるシーンも。

クリエイターは人生において大きな挫折を経験していた方が良いと言われるが、世界的巨匠のスピルバーグもまたそういった辛い人生を歩んできたのだなと。愛する両親の離婚と苛烈なユダヤ人差別はなかなかキツい。でもやっぱり創作にはこういう「なにくそ」と思わされる経験が必要。

しかし熱心なキリスト教信者のあの子はなんでスピルバーグのことを好きになったんだろう?


以下、セリフメモ。


(竜巻を見に行ったところで)
「一緒に言うのよ。"出来事には意味がある"」

「銃撃がリアルだったよ」
「ああ、フィルムに穴を開けたんだ」

「架空のものではなく、実際に使えるものを。運転免許もそうだ」

「キャンプ旅行の映画を。これ(8mm用編集機)を使ってママを喜ばせてくれ」

「俺たちはお前のママ同様、芸術の才能があるんだ。芸術は麻薬だ。俺たちはそのジャンキーなんだよ」

「サーカスで象の糞を掃除していた男が象に乗ることもあるんだ」

「お前は映画を撮り続ける。だがそれは過酷な道だ。忘れるな」

「芸術は輝く栄冠をもたらす。だが同時に、胸を裂く孤独をもたらす」

「遠くを見てる男ばかり。女を出せば面白くなるわよ」

「もう何なの!最近逆らってばかり!私は母親なのよ!」
「不幸にもね!」

「ママ、言わないよ…。(不倫については)誰にも絶対言わない」

(新しいカメラを渡して)
「ベニーおじさんからお前の前途を祝しての餞別だ」

「(カリフォルニアに行っても)映画作りだけは辞めるなよ。ママが悲しむから。そのことだけは忘れるな」

「彼にはなにも言えない。あまりにもいい人だから。冷たくしても高いドレスを買ってくれる」
「あのフィルムでこんなことになるなんて…」

「おい新入り、名前は?」
「サム…フェイブルマン」
「ユダヤだ。ここにいるのはユダヤ嫌いばかりだぞ」

「よぉ、ベーグルマン!ロッカーに何かあったろ?ユダヤパンで満腹か?」

「主イエスを殺したことを彼女に謝れ!」
「僕は2000歳でもなくローマ人でもないのでお断りするよ」

「この地域でユダヤ系はウチだけ。だから差別される。全部パパのせいだ!家族な惨めな思いをするのに引っ越すなんて!」

「キリストはイケメンのユダヤ人だったの。あなたのようにね」

「口を開けて!キリストの聖霊を受け入れるのよ!」

「怖がらないでくれ。ママはアリゾナに戻りたいと。パパは仕事でここを離れられない…」

「私、ベニーが恋しいの」
「ママは身勝手だ!」

「ベニーはママを笑わせる。パパは静かに聞いてるだけ…」

「ロスに移ったら映画の仕事を。僕と…一緒に来ないか?愛してるんだ」
「私はテキサスA&M大学よ」

「ご両親が離婚するからってなぜ私がハリウッドに越すの?」

「なぜだ。なぜ俺をあんな風に撮る?俺がお前をイジめ鼻を潰したからか?」
「ローガン、カメラは写したままを撮る」

「5分でも友達になれたらと思ったんだ!君は反ユダヤ主義のクソ野郎だ!」

「あの画面に映る俺は、みんなが手が届かないような男に見える。まるで黄金の時を生きるような…。あれは俺じゃない、俺は…」

「パパには大学を出ると約束したけど、この2年間は地獄だった。どうしても馴染めない」

「私とママの長い関係に"ジ・エンド"は来ないんだよ」

「当たれば次のシーズン、君に仕事を回せるかも。今回は助手の助手の助手だ」

「覚えておけ、地平線が下にあると良い絵になる。上にあっても良い絵になる。真ん中にあると死ぬほどつまらん。以上だ。とっとと出ていけ!」
「ありがとう、感謝します!」
「こちらこそ」
ヒデ

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