ぶみ

オレンジ・ランプのぶみのレビュー・感想・評価

オレンジ・ランプ(2023年製作の映画)
3.0
39歳、パパが認知症!?
どうする、私!!

山国秀幸が上梓した同名小説を、三原光尋監督、貫地谷しほり、和田正人主演により映像化した、実話をベースとしたドラマ。
カーディーラーのトップ営業マンだった主人公が、39歳で「若年性アルツハイマー型認知症」を発症し、生活が一変するも、新たな人生に向き合っていこうとする家族等の姿を描く。
原作は未読。
認知症を患った主人公・只野晃一を和田、妻・真央を貫地谷が演じているほか、赤井英和、伊嵜充則、山田雅人、赤間麻里子、中尾ミエ等が登場。
物語は、主人公となる晃一がバリバリの営業マンとして働いていたものの、認知症の症状が出だした39歳当時の回想シーンを中心として展開。
働き盛りの年代であり、ましてやトップ営業マンだった晃一にとって、認知症と診断された時の心情は、何をか言わんや。
以降、主に夫婦の姿を中心として展開していくが、和田の演技はもとより、晃一を支える真央を演じた貫地谷の演技が素晴らしく、夫の姿に苦悩しつつも、一家を前に進めようとする様が、ひしひしと伝わってくる。
映画としては、冒頭登場する、いかにも認知症の負の部分だけをクローズアップさせようとするマスコミを除き、基本良い人しか出てこない内容となっており、エンタメ的な演出も皆無であることから、面白みは少ない反面、認知症に対する正しい理解を広めようとする意図は伝わってくるものであり、教科書ムービーとして、十分合格点。
そんな中でも、晃一が勤務するカーディーラーが、クレジットによると「ネッツトヨタ」であるところを、「ワッツトートー」になっていたのは、ツボにハマった次第。
一応、私もキャラバン・メイトによる「認知症サポーター養成講座」を受講しており、認知症サポーターの証であるオレンジリングを名札につけて仕事をしているのだが、実際に、身近に若年性認知症の方がみえないため、いざ、その場になると、戸惑うのではないかというのが、正直なところ。
そんな戸惑いを解消させてくれる本作品は、多くの人に触れてもらいたいところであるとともに、認知症に限らず、病気になりたくてなる人はいないし、いつ自分がその立場になってもおかしくないことを肝に銘じて、人にやさしい社会の一員でありたいと願う一作。

私だって、できることがある。

※いかんせん、平日のレイトショーとは言え、公開一週目にして貸切鑑賞であったのは、寂しい限りでした…。
ぶみ

ぶみ