【菩薩道】
成島出監督×門井慶喜原作×菅田将暉×役所広司主演の岩手の文豪・宮沢賢治とその父を描いたヒューマンドラマ
〈あらすじ〉
裕福な家庭に生まれた宮沢賢治は、家業を継ぐことを拒み家を出てしまう。そんな中、妹が結核に倒れると、賢治は彼女を励まそうと物語を描き始める…。
〈所感〉
宮沢賢治のファンなので鑑賞。賢治役の菅田将暉の演技は素晴らしいが、やはり私の中の宮沢賢治のイメージとはだいぶ乖離していてなかなか入り込めない。イケメンすぎる。南無妙法蓮華経唱えるところ良かった。役所広司演じる父・政次郎の視点から順風満帆とは程遠い賢治の人生が物語られるが、妹トシ、そして賢治を看取った父の心境は如何なる心痛だったのだろうか。常に世のため人のため動き続けた賢治にとって、自分など然して気に掛ける対象ではなかったのだろう。自己中心的な人間ばかりの現代にはもはや絶滅した、まさに雨ニモマケズのデクノボウのような男だ。私はそんな彼の人柄が滲み出た小説、文章にいつも心を奮い立たせてもらっている。私の好きな作品は『グスコーブドリの伝記』、好きな言葉は「正しく強く生きるとは、銀河系を自らの中に意識してこれに応じていくことである。」
映画としては少々面白みに欠けるが、ラストの銀河鉄道に乗る演出もあって良い映画だと思う。宮沢賢治のことをよく知らない人にも勧めたい。