noriko

aftersun/アフターサンのnorikoのネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

好きな映画、久しぶりにパンフも買いました。
好き嫌いはわかれるのかも?自分は最初のベランダでタバコを吸うシーンから、好きだわと思った。
楽しいリゾートの時間、若く見える優しく楽しい父、でも時折挟まれるどこかへ行こうとする父の背中と数秒思うより長く挟まる風景のカットが不穏な空気で辛い。何度もこの人はどこかへ行ってしまう、と見ているこっちは思っているのに、娘は「パパは大丈夫」とあかるく話した瞬間、11歳にしては大人びて見えるけど、まだこの子にとってお父さんは全能の人なんだなと思った。子供のときって親がなんでもできる人って思っていて、徐々に崩れていくけれど、もちろん少しずつわかっているところはあるけれど(お金ないでしょ?とか)、それでもそう思えるのは幸せだよなぁって思った。この幸せな時間を子どもに与えるのが親の使命なのかもしれない。

父親は歳よりも良くも悪くも若くて、故郷を離れて落ち着く何かを得ることは難しく、刹那的に見えているけれど、それでも娘に護身術を教えて、優しく気を遣って、なにより仲良く過ごせているのが、それだけでいいじゃんって思うけどそれだけじゃダメなんだろうなと伝わってきて辛い。

海の上で「なんでも話すこと」とやさしく伝えて、いい言葉だなぁと思っていたけれど、最後ラスト白い通路を抜けて去っていく瞬間のカットを見て実はとんでもない呪いの言葉な気もした。いなくなるのに、なんでも話して、ってずるい。
でもそのラストカットでも子供の泣き声がきこえて、それはこの思い出を持つ自分との戦いでもあり癒しでもあるなと思った。いい終わり方でした。

あと監督のインタビューで「終わった後人と語りたくなるのが最高の褒め言葉」ってあって納得。
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