デンマちゃん

aftersun/アフターサンのデンマちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

◼︎ビデオテープとハンディカムのカチャカチャした音、赤くひりつく肌とべっとり厚い日焼け止め、人肌に触れる一瞬前に走る電気、冷たくて重いウェットスーツ。視覚と聴覚を通じ、さも実体がそこにあるような錯覚を何度も覚えた。すごい。

◼︎娘Sophie役の役者さんが本当に愛らしくて、こちらも演技とは思いづらい自然な存在感。今作が初出演らしいから驚き。

◼︎父Calumはどこからどう見ても最高の親父なんだが、それはSophieと向き合っている時間の話。明滅するストロボライトの下で踊るイメージのように、暗転時にどんな表情をしているかは誰にも見えない。熱狂しているのか、絶叫しているのか。誰かと一緒にいる時には元気に見えても、一人ぼっちの時はどうなんだろうね。。って言う。

◼︎おそらくCalumは計画立案/遂行能力を著しく欠く人物で、それは旅先での過ごし方や消費傾向、Cafeの立上げについて尋ねられる場面など折折に垣間見ることができる。もしかするとSophieの存在そのものが無軌道ゆえの産物と言えるかもしれない。そして彼の無軌道な人生は、次に向かうべき先を見失ってしまったのだろう。