あたたかくて退屈な昼下がりに、うとうとと夢を見ているような時間。
忘れられないひと夏の眩しさを感じたかと思えば、愛や居場所を失って夜の片隅に放り出されてしまったような気持ちに覆われる、本当にゆらゆらとした映画だった。
父娘というよりも、あの2人が抱く愛しさには恋人同士のようなそれを感じたが、それでいても何も起きない圧倒的な愛が心地よかった。
布団の擦れる音や、ゆったりとした寝息、そんな消えてしまいそうな音がよかった。
「最後の夏休み」の意味が断片的に映されていたがあえて明確にそうとは言って終わらない、その不完全さが美しかった。あれこれ考えてしまいそうになるが、これはこのままでいい、と思える終わりだった。