れーちゃん

aftersun/アフターサンのれーちゃんのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.8
11歳の夏休み、ソフィは離れて暮らす父・カラムとトルコのリゾート施設へ行く。
カラムがビデオカメラを回し、親子で互いを撮り合いながら親子2人でバケーションを楽しむ。

年頃のソフィは、施設内で出会う目上のカップルや、同じ年頃の異性を意識したりと、大人への憧れを抱きつつ、まだまだ子供らしい一面もあるあどけない少女だった。

そんなソフィが大人になり、父と過ごした夏の思い出が詰まったビデオを観る。
そこには、当時は気付かなかった「父の姿」があった。

子供の視点では親でしかない両親。しかし、いざ大人になり、親と同じような年齢や立場になると「親」としてではなく、1人の「人間」として見れるようになる。

ソフィがこのビデオを通して気づく、「父」という一人の人間の苦しみや葛藤、そして辛さ。
親子の過ごす切なくも純粋で愛おしい時間を、トルコの美しい情景が包み込む。

作品全体を通して切なさや儚さ、そして不穏さが伝わってくる。これは大人になったソフィが気づいた「父の姿」と同じような感覚なのであろう。
この繊細な演出を一本の作品の中にこれだけ散りばめられた監督の今後の作品にも期待したい。

ネタバレや解説を見ずに、自分が体感したその気持ちを大切にしてほしいと思う作品。
れーちゃん

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