さゆ

aftersun/アフターサンのさゆのネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

良かった
最後のビデオ再生が終わったところでめちゃくちゃに泣いた

冒頭のバス車内シーンから父親の行動微妙じゃないか…?と思っていてその違和感がしっくりき始めた頃には見入っていた

完璧な親はいないし完璧な子供も居ないということ
そもそも人間が不完全な生き物で、それでも愛を与えて受けて与えられることに気づけるという救いがそこにあった

現代の社会的規範からして良い父親ではないし、
家庭内でも常にいい父親でもない
でも娘に対する愛が確かにあって泣いてしまった

でも人柄的にも父親としてもすごく不安定だった
まずバスガイドの物真似して娘と笑うとかちょっと嫌だなあと思っていたら本当にそうだった
衆目カラオケで音痴な娘がひとりまえで歌っていて一緒に歌ってほしがっているのに絶対行かないところとか
子どもな娘を夜ひとりで置いて行って締め出すところとか
女性の話をしたり
お金ないのにトルコ絨毯買ったり
ソフィア子どもだし潜れないのにダイビングとか大人に混じって水球やらせたりとか
不機嫌になってビデオを消せと言ったり
仕事も不安定そうで夢を語っている雰囲気があった
手首の骨折もきっと転倒によるものではなさそう、転倒だとしても原因が治安悪そう
カラムの微妙さは金銭状況にもあって、
せっかくの娘とのバカンスに安いバスツアー、対応の悪いホテル、さびれた観光地、潜水メガネ、食い逃げからも分かる
でもトルコ絨毯は娘にあげるつもりで買ったのかなとか思うとそうじゃないだろと思うけど

それでもカラムの娘の輪郭をたどる指だとか、
振り返って娘を見る目だとか、
お金ないだろうにツアーとったところとか、
悪いことをしても全てを話してほしいとか、
日焼け止めを塗るところとか、
あとはビデオにソフィアをおさめるところとか、
細々としたところにカラムなりの精いっぱいの溢れる娘への愛があって
それに子どもを持ったソフィアがビデオを見ているところで全て流れ込んできて涙が止まらなかった

ソフィアはカラムが20くらいの時の子どもで、クラブでドラッグやった時にできた子なのか?
最後にカラムがフラッシュが溢れる扉の向こう、過去のような世界に行ってしまってきっとそれきり合わなかったんじゃないかなと思った
そしてソフィアは成長するにつれ父親の微妙さを理解してそんなに好きじゃなくなって、それでも自分が彼女と愛し合って子を持ってビデオを観てかつてそこに在った父親からの愛を観てたんじゃないか

そして対比が凄い、残酷
父親がしてあげられないことをあっさり他の人がやるところとか
マイケルの数ペンス、お姉さんがあっさりくれた全部込みフリーパスのリストバンド、あと忘れたけど
さゆ

さゆ