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aftersun/アフターサンのkanaのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.5
観てから1ヶ月以上経ったけれどポスターを目にするだけで涙が滲みそうになる作品で、自分の精神的に深い奥底の部分が永遠に引っ張られてしまっているような気分。

「もう別れたのになんで大好きだよって言うの?」別れ際に娘に投げかけた”I love you”がずっとこだまする。テレビの横に積まれていた瞑想と太極拳の本。絨毯に寝転がるカラム。真っ黒な海。

R.E.Mの”Losing My Religion”は父が車の中で朝から晩までずっとかけていた曲だった。数年間ずっと流れていたから私も覚えて楽しく口ずさんでいたけれど、スクリーンに映し出された歌詞は記憶よりずっと複雑だった。

自分自身をカラムに重ね合わせながら観てしまったけれど、この映画の中でソフィの目線から映される父親の存在はあくまで大切な1人の人間であって、そこに余計な記号がつくものではないことに安心感を覚えた。
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