kanaさんの映画レビュー・感想・評価

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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.9

無駄なカットが1つもない80分、市井の人々を淡々と、時に優しく見つめるカウリスマキの視点が好きだ。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

この作品を観て映画館を出た後に自分の目に映る景色がいつもと違うような気がした。そんな鑑賞体験は本当に久しぶりで、帰り道に自転車を漕ぎながら彼らの目に映ったであろう景色を想像した。

この映画は、苦しみ
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.5

風の音、葉が擦れる音、空を流れる雲、すべてがコットを静かに見守っているような静謐で優しい映画だった。コットを取り巻く空気をスクリーン越しに伝えてくれる撮影も音響も本当に素晴らしい。本作はアイルランド語>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

川端の「美しい日本の私」と大江の「あいまいな日本の私」を思い出した。この映画は外から見た「美しい日本」だなというのがまず第一の印象。スタイリッシュなトイレだけが映し出され、そこに当然あるはずの汚物など>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

3.6

全体的にスタイリッシュなMVのような印象で、バリー・コーガンの演技をただただ堪能するためのような作品。撮影はとても良かった。最後の種明かしの場面は想像する幅を持たせるために、なくても良かったのではない>>続きを読む

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

3.4

役者がとても魅力的なだけに冗長な脚本がやや残念。性描写に重きを置く理由もいまいち掴めなかった。

バーバリアン(2022年製作の映画)

3.7

明確にフェミニズム的視点を持って作られているホラー作品。特に前半のテスとキースが感じる警戒心の対比がとても良かった。

ほつれる(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

犬のくだりの独白が本当に恐ろしくて、あの場面があるのとないのではこの映画に対するイメージが大きく変わってくるとさえ思った。終盤、綿子と文則の間に映し出されるランプがとても特徴的で、ぼんやりとそれを眺め>>続きを読む

レプタイル -蜥蜴-(2023年製作の映画)

3.5

ただただデルトロの演技を堪能する作品。カット割りと音楽がかなり独特で、終始物々しい雰囲気。物語の展開を読むのが得意ではないので、最後までハラハラしながら楽しめた。ただ、やや冗長である部分は否めず、回収>>続きを読む

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

3.7

終始観ているのがつらい場面の連続だったけれど、冒頭のシーンと終盤のシーンを反転させるような構図が本当に秀逸。脚本の意図もしっかりしていて、極度にホモソーシャルな環境で女性が生き延びようとした時にどんな>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

脚本があまりにもごちゃっとしていたという印象は拭えなかった。特にヤクザ周りのことや売春を斡旋していた「お母さん」、殺人のこと、刑事の張り込みと誘導作戦など、あまりに現実離れしているところが多すぎて肝心>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.8

とても良かった。主人公の衝動、掴みきれない行動、葛藤、その先に明確な答えが用意されている訳でもない。言語が通訳され横断する過程で誰かの配慮や親切心が上乗せされていき、最初に発せられた言葉が変化してゆく>>続きを読む

消えた16mmフィルム(2018年製作の映画)

-

あまりにも映像やインタビューが充実しすぎていてモキュメンタリーかと思って見ていたけれど、どうやら本当にドキュメンタリーらしい。

マイスモールランド(2022年製作の映画)

3.8

やや不自然で説明的な箇所と自然な空気感の演出のシーンのギャップが少しあり気になったものの、サーリャと周りのクルドの人々が経験し得ることを一つ残らず描き出そうとする真摯な視線が素晴らしかった。クルドの挨>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.5

観てから1ヶ月以上経ったけれどポスターを目にするだけで涙が滲みそうになる作品で、自分の精神的に深い奥底の部分が永遠に引っ張られてしまっているような気分。

「もう別れたのになんで大好きだよって言うの?
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X エックス(2022年製作の映画)

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ミア・ゴスの“I will not accept a life I do not deserve”がフックになっていてフェミニズム映画として観ることもできたし、彼女の存在自体がどこからどう見てもやはり>>続きを読む

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

4.0

監督の前作『おみおくりの作法』が好きだったこともあり、いわゆるお涙頂戴的なものではなく淡々とした映画なんだろうなと思い鑑賞。予想以上にドキュメンタリータッチで、必要最低限の演出にとどめる真摯なまなざし>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.6

面白かったか?と言われればよく分からないけれど、嫌いだったかと言うとそういう訳でもない不思議な鑑賞体験だった。前知識なく鑑賞した段階では既存のファム・ファタールものをなぞったような至極単純なプロットだ>>続きを読む

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

3.5

面白かったけれど、映画自体が古い時代設定ということもあり家父長的な場面も多く、若干そこが退屈に感じる部分もあった。

グッド・ナース(2022年製作の映画)

3.8

過剰な演出に頼らず、静寂の中で進んでいく狂気がなおさら引き立つような作品だった。何よりエディ・レッドメインの演技が素晴らしい。俯瞰したようなカメラワークがところどころ挿入されるのも効果的で良かった。

はちどり(2018年製作の映画)

5.0

何もかもが素晴らしかった、オールタイムベスト。
民主主義を取り戻したばかりの韓国、不安定な経済、隣国の政変...とここまではイ・チャンドンなど多くの監督が題材にしてきたテーマだったけれど、それを1人の
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.5

市井の人々の何気ない瞬間を切り取るのが上手い。

伊藤沙莉さんの声色、目線、表情、そのバリエーションが本当に多彩で素晴らしかった。2人の会話もラジオみたいで心地よかった。ずっと泣き笑いしながら見る感じ
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