ごんす

aftersun/アフターサンのごんすのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
5.0
映画を観ながら自分の記憶も無意識に呼び起こされるし、この映画自体が記憶そのもののように不確かで曖昧。
それでいて力強さも感じる。

トリッキーな所もありながら話は超ミニマムなので好みは別れるだろうけど監督のこの映画に対する真摯な想いを感じる。
どこまで監督自身の体験をモチーフにしているか分からないけど映画や映画だけでなく全ての創作物は人の心に直接触れてくるものだと信じている人なのではないかと思う。

11歳の少女が夏休みに31歳の父とリゾート地で過ごした思い出を父と同じ31歳になった時にビデオカメラの懐かしい映像と共に振り返るという…そしてこのポスターなのでノスタルジックでさぞかしエモーショナルな物語なのだろうと期待すると多分肩透かしを食らう。

自分にはこの映画を記憶との対話として観ている時間が多く泣けてきてしまったり、少し笑えたり、とてつもなく悲しい話にも感じるが強い希望も感じられたり。
様々な感情を呼び起こされる唯一無二の映画体験だった。
自分が極端な観方をしていたこともあって細かい伏線などは後から解説で気付いたりとまだまだ理解できていない部分も多い。
かなり観る側に委ねられている部分が多く次に観た時は自分がどう感じるのか気になる。
「何でも話していいんだよ」「なりたいものになればいい」などある一定の年齢になった時に人は子供の頃にもらったシンプルな言葉を思い出すのかもしれない。

『アフターサン』『アフター・ヤン』『THE SON/息子』
タイトルだけでなくそれぞれ何かしら似た要素があってどれも好き。
ごんす

ごんす