このレビューはネタバレを含みます
終始、父親が何に悩んでいるかは
一切名言されない。
私の浅い憶測だが、思いつくものだと、
・親の年齢から若すぎた故のトラブルかもしれないし(20歳で娘を授かっている)
・もしかしたら同性愛者として悩んでいたかもしれないし(ティーンのキスシーン)
・犯罪歴や逮捕歴があったかもしれないし(ドラッグの話や人前に出たくない)
・働き口や貧困に悩んでいたかもしれないし(最初の方はお金を使うことを躊躇している)
・物理的なものではなく、優し過ぎてこの世が難しかったのかもしれない。
もっといろんな悩みを抱えきれない程持っていたんだと思う。
この日を迎えるまでの彼の生きづらさはどれ程のものだったか、
その中で娘の色んな表情を見ることはどれ程素敵な時間だっただろうか。
それでも、愛おしい娘を残して
この世から去る葛藤や覚悟は
どんなものだろう。
彼をそうたらしめるものは一体なんだったんだろう。
娘の成長をこれからも見守りたいと
思う傍ら、生きていくのが無理だと
思わせるこの世の中ってなんなんだろう。
悔しくて悔しくて涙が止まらない。
あらゆることに慎重だった父親が
最後の夜、生きる恐れから開放されて
観光客向けの不必要な写真も快諾し
カフェの前でなりふり構わずダンスをする。
終わりを設定した父親のラストダンスは
本当に幸せそうだった。
あれが彼の中で人生のグランドフィナーレだったのかな。
ストロボの中、31歳同士の父娘の邂逅は
美し過ぎて、私では説明しきれない。