かい

aftersun/アフターサンのかいのネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

さわやかそうだし特にかまえず見よう!と見始めたら心抉られるお話だった
鑑賞してからしばらく心を持っていかれたし、数日経ってもまだ引きずられてる

1周目はさらっと見ていたので「お父さんの今の表情なに…。え、その間は?その言葉と行動の意味は?」と不穏さは全開だけど消化不良なまま終了

2周目は感想や解説を見てから鑑賞
11歳の頃の将来の夢の話
「30歳まで生きてるなんて信じられない、40歳の自分なんて想像つかない」
「一度その場所から離れたら戻れない、居場所はない」
「時間はある、なりたい人間になれ」
誕生日を祝われるシーンとその後大泣きするお父さん
11歳の無邪気な娘の言葉、お父さんがひとりのときに不安定になるシーン、何から何まですべてにおいて精神を削られる

自分や過去と折り合いをつけられず、先行きも立たずいよいよ行き詰まってきた
愛する娘がいてもどうにもならない状態
不安定ながらも自分が持っているもの全部を娘に伝えようとするお父さん
謝りたおす過剰な自責
そういう世界観はとてもよく分かる

この映画は表面的には父と娘の夏のバカンスでのどかで穏やかな雰囲気なのに、父親の苦悩が繊細で分かりにくいかたちで組み込まれてるから終始不穏さを感じるんだと思う
父親の表情を電源が入ってないテレビ、テーブル、水面に反射させて映しているシーンが特によかった

人はわかりあえないこと、人のさみしさを嫌になるくらい突きつけてくる映画だった
かい

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