けーてぃー

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のけーてぃーのレビュー・感想・評価

4.6
都市生活と人間性と孤独
94年の作品である事が信じられない程今の社会に生きる我々の事を映していると思えた
「真実よりも見せかけ」をはじめとした名台詞の数々に加え、各キャラクターが仕事や都市生活の中で人間性や目的を見失って孤独や寂寥感に打ちひしがれるのはどうにも他人事に見えない
またモーリーだったりフォンが可愛いよりカッコいいよりのキャラクター造形に見えたのも興味深い

監督作の鑑賞は初めてだが、人間や社会への洞察がかなり鋭く思える
ランニングタイムも適切で全体のまとまりも良く、成程賞賛されるのが良く分かった

ギャグシーンも小気味よく劇場で笑いが起きていた 個人的にはセイロの中に電話があるシーンと、その後の修羅場でのラリーの手のひら返しが最高

これは悪い癖かもしれないが、冒頭のインタビューシーンが監督自身の独白のようにも見えてしまった(この作品の前の長編作品がどうにもシリアスで重そうなので)