安堵霊タラコフスキー

波が去るときの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

波が去るとき(2022年製作の映画)
3.5
いつものラヴ・ディアス以上に、読み解こうと思えば長編小説ばりに読み解けるだろうけど無意味と切り捨てることも可能って性質を感じた作品。

その理由はいつもより惹かれる映像が少なかったことにもよるのかと我ながら思ったところで、展開としては少しサスペンス小説的でもあるんでロケ地を細かく変えた演劇みたいな場面ばかりとなっていながら、立ち去った女とかと比べても印象深い夜のシーンがそこまでなかったこともあってか映像の強烈さや面白味を感じた瞬間があまり多くなく、致命的な飽きは覚えなかったものの長時間の上映なんでトイレにも惜し気なく足を運べる程度には心も離れてしまった。

また主要登場人物二人の関係を台詞だけで説明してしまったことも不親切に思え、多用される訛りがクソ入った英単語や字幕とかのおかげでざっくりわかったもののクライマックスにもしっかり関わるその関係性が3時間もある中で映像として殆ど描写されなかった点は如何なものかと首を傾げた。

しかし最後の最後で締めくくりとして中々に求心力のある展開が起こったのでそこの印象は強く残る結果となり、腰や首が痛くなって心象も悪化していたところでの面白いラストのおかげでギリギリ虚しさを覚えることなく劇場を去れたのは何よりだった。