チュニジア首都チュニス郊外の建設途中のビルから、人体発火現象の謎に刑事2人が迫る物語。
監督は政治的メッセージの意図はないとは言っていたけど、自分はチュニジアの想いや政治的意図を感じ取る映画だった。
2011年のベン・アリー独裁政権が倒されたジャスミン革命が起こり、民主化運動「アラブの春」が中東・北アフリカ諸国に広がった。
ジャスミン革命が起こったきっかけは、露天商の青年が販売の許可がないとして、商品を没収され、暴行と恥辱を受けたことへの抗議として、焼身自殺をしたことに端を発している。
イスラームでは、世界が終末を迎えた時、魂が元の身体に戻り、復活して最後の審判(天国か地獄か)を受ける。
なので自分の身体を燃やすと魂の帰る場所をなくすことを意味するし、死後は土葬である。
青年の焼身自殺はショッキングなことだった。
「アラブの春」はエジプトは独裁政権に戻り,イエメン、リビア、シリアは内戦になる結末になった。
唯一、民主化が成功とされていたチュニジアも汚職や若年層を中心とした失業率の高さ等が問題が山積。
禁忌を起こしてしまうほどの失望と炎の邪悪な感じが重くのしかかるような作品と感じた。
でも、ラストの燃え上がる巨大な炎に向かって走っていく、全裸集団に拍子抜けしてしまって笑ってしまった。