れーちゃん

ライフのれーちゃんのレビュー・感想・評価

ライフ(2022年製作の映画)
4.5
できちゃった婚でお金のない主人公の男は、妻を幸せにしたいという一心でIT業界へ就職する。ある日、ハードディスクを空にしてほしいという依頼を受けるが、会社の全データを吹っ飛ばしてしまう。
消されたデータの中にはマフィアのボスが大切にしていたデータも含まれており、主人公は奈落の底に突き落とされる。

そこから彼はいろんな土地でいろんな人と出会いながらたくさんの体験をしていく。そんな主人公の生活を映し出していきながら、ライフが底をつくタイミングでチャプターのように切り替わり、次のライフへと移っていく。

宗教、貧困、障がい者、孤児、人種差別、弱肉強食、欲望、主人公が出会う人々の背景に様々なテーマがあり、主人公を含め観客も何度も考えさせられる。
主人公は人生をやり直せそうな局面に立たされるのに、やはりライフは底をついてしまう。

それは彼自身が空っぽであり、生きる目的がハッキリしていないからではないだろうか。
彼は何色にも染まれず、自分を捨てられない。彼は彼自身のライフを毎回選択しているのだ。

世の中を苦労して生き抜く人がたくさんいる中で、本当の苦労を知らない彼はどんな人を目の当たりにしてもなんとなく生き延びていく。

それは人は1人では生きていけない。いつも必ず誰かに助けられているのだというメッセージなのか、生きる目標のない人生ほど虚しいものはないが簡単には死ねないのだというメッセージなのか。

鑑賞後いろんなことを考えさせられる作品だった。これだけたくさんの人が登場し、たくさんの場所が登場し、ものすごく大規模な作品だった。
れーちゃん

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