いち麦

エリザベート 1878のいち麦のレビュー・感想・評価

エリザベート 1878(2022年製作の映画)
4.0
奔放に自己中心的に生きていたオーストリア皇妃エリザベート。この映画では、いつまでも若くて美しい女でありたい願望、愛されたい願望だけは強く、誰かを愛したり優しく接したりすることができない…つまり与えることのできない女性だったように見えた。夫や恋人ベイなど男との微妙な関係が映像で繊細に描写されていて心のうちが手に取るようによく分かる。やがて自分自身の虚像を作らざるを得なくなる末路は哀れで、この作品でしか見られない特異な着地にも説得力があった。ただ彼女には全く共感が湧かないし魅力も感じない。キー・ヴィジュアルの中指を上へ突き立てるポーズは時代的にも彼女の人物像的にもちょっと違う感じがする。
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