ハレルヤ

高速道路家族のハレルヤのレビュー・感想・評価

高速道路家族(2022年製作の映画)
3.7
ホームレスで高速道路のサービスエリアで、二度と会う事のない見知らぬ人からお金を借りる振りをして、そのまま頂き毎日を過ごすギウ一家4人。そんなある日以前にお金を借りたヨンソンと再会してしまい、警察に通報した事から運命が変わっていくサスペンスドラマ。

「パラサイト 半地下の家族」に近いものを感じた本作。楽しみにしていました。サービスエリアでその日暮らしを続ける一家。まぁ父親のギウがとんでもなく人間のクズ。自己中だし、捕まっても言い訳で罪から逃れようとするし、妻置いて逃げようとするし、子供たちも巻き込んでるしで同情の余地が無い。

でもこの家族が何でこんな生活に?という疑問は初めからありましたが、それも終盤で明らかになります。妻の生い立ちも含めて社会的な弱者が抱える辛さ、救いの手を差し伸べてくれない社会の不条理を感じる内容です。

そんな家族にとって救いになるのが、一度彼らに騙されたはずのヨンソン。中古家具店を夫と営んでいて、捕まったギウと引き離された妻と子供2人を見捨てられず自宅に住まわせる。

そこで文字の読み書きが出来ない娘を教えたり、妊婦の妻を産婦人科に連れて行ったり、面倒を見る。それによって家族も心の温かさを感じていく。ちょっと出来すぎな話にも見えますが、ヨンソンの良心が本作での大きなポイントになります。

その一方で警察署から脱走したギウは堕ちるところまで堕ちる浮浪者同然の状態に。名刺の住所を頼りにヨンソンの家まで辿り着くも、もう一緒に暮らせないと突きつける妻。

落ちぶれた姿でも父と一緒に過ごしたいと願う子供たち。ラストは少し強引でしたが、落とせるところに落としたなという印象。

色々と荒いところもありましたが、問題提起や最後まで楽しめる展開と見応えは十分あった作品でした。
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