このレビューはネタバレを含みます
これは秀作
前半早々、タイトルの意味が腑に落ちた瞬間から引き込まれた。
朝鮮16代国王仁祖は屈辱王と知られており、肩入れしていた隣国の明(中国)が衰退し見下していた女真族の後金(モンゴル)が勢力を増し朝鮮侵略の戦争(丙子の乱)を起こして仁祖軍は大敗。そこで王は三跪九叩頭の礼の屈辱受け服従し息子の昭顕世子を人質として差し出した。
後金が清国という大国になり
人質の世子が8年後無事朝鮮に帰って来るも2ヶ月後に謎の急死。
その死因をこのストーリーに仕立てた。
タイトル【梟】
まさにこの盲目の鍼師のこと。
光あるところでは目が見えず
暗闇に目が利く。
彼は闇の中で秘密裏に起こっている情景が見えてしまう。
ある夜世子の体調が悪化、師匠に同伴して鍼で手立てをするが途中灯りが消えた時、それが暗殺の手立てであり自身がそれを手伝っていることを知る。
韓ドラ【華政】【恋人】を観終えそして今は【魅惑の人】を観ているので、この仁祖時代の背景や悲劇をドラマ上で知っている。
だから王の座に執着し続けた無能な王様はもちろん好きではないのでこの映画もその点裏切らず一層腹立たせてくれた。
盲目の鍼師(目が見えず身分も低い)の語る言葉は誰も信じない。と自虐しつつそれが思い知らされていた現実。
しかし人徳の無い王様の言葉よりも彼が真実と言い続ける言葉が正しいと皆がわかっていた。
顔面麻痺、病に侵され身体ボロボロの醜い状態でも座位に執着した哀れな王様の最期
そのトドメは盲目の鍼師が刺した一本の鍼だったのか?
仁祖の死因を
仁祖が息子に仕掛けた毒針暗殺の死因と同じ『感染症』と言い放った時は痛快でしかなく、胸のすく思いに駆られた。