監督、作風が変化しても当たり前かのように面白い猿の惑星シリーズのフランチャイズとしてのポテンシャルは凄まじい。シーザーという看板を失ってもなお、分厚いレイヤーのあるストーリーテリングで観客を魅了し続ける。
新3部作の頃にはなかった猿たちの表情の豊かさから、300年の時が経過し、知性が身についたことが分かる。目の動きや、その場の空気を細かに感じ取っているアクションを感じた。
エイプはエイプを傷つけないというシーザーを信仰するオラウータンのラカが、いざという時に敵を殴ってしまって「シーザーも許してくれるさ」という場面は、信仰ってそういうものだよねと笑ってしまった。
人間ではありえない速度での走りや、木の上を駆け上がる軽快さに、ある種の憧れを猿に投影してしまう仕組みが憎い。人間には到達しえなかった領域の可能性をみているようで楽しい。天体望遠鏡で星(過去の光)を覗く姿は、猿たちにとっては人間、人間にとっては猿というように、人間と猿が入れ替わる狭間に観客が立たされる。
そこまで期待していなかったが抜群に楽しめた作品だっため、これからのシリーズ継続を断然支持していきたい。