蛇らい

猿の惑星/キングダムの蛇らいのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.4
監督、作風が変化しても当たり前かのように面白い猿の惑星シリーズのフランチャイズとしてのポテンシャルは凄まじい。シーザーという看板を失ってもなお、分厚いレイヤーのあるストーリーテリングで観客を魅了し続ける。

新3部作の頃にはなかった猿たちの表情の豊かさから、300年の時が経過し、知性が身についたことが分かる。目の動きや、その場の空気を細かに感じ取っているアクションを感じた。

エイプはエイプを傷つけないというシーザーを信仰するオラウータンのラカが、いざという時に敵を殴ってしまって「シーザーも許してくれるさ」という場面は、信仰ってそういうものだよねと笑ってしまった。

人間ではありえない速度での走りや、木の上を駆け上がる軽快さに、ある種の憧れを猿に投影してしまう仕組みが憎い。人間には到達しえなかった領域の可能性をみているようで楽しい。天体望遠鏡で星(過去の光)を覗く姿は、猿たちにとっては人間、人間にとっては猿というように、人間と猿が入れ替わる狭間に観客が立たされる。

そこまで期待していなかったが抜群に楽しめた作品だっため、これからのシリーズ継続を断然支持していきたい。
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