とらキチ

あしたの少女のとらキチのレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
4.9
ごく普通の少女が過酷な労働環境に疲れ果て自死へと追い込まれていく姿と、刑事が少女を自死に追いやった会社の労働環境を調べていく過程を描き、社会のシステムの歪みを告発するドラマ。
前半後半の2パート構成になっていて、まるでソヒ自身が乗り移ったかのように、ソヒの足跡を追うユジン目線の姿を描く事で受難と救済、ある種“羅生門”的な効果を発揮していて実に上手いなぁと感じた。それと、実は彼女達は生前邂逅していたという演出が、とても泣ける。
高校生ソヒを演じたキム・シウンの、どんどん病んで壊れていくお芝居も凄かったけど、刑事ユジンを演じたぺ・ドゥナの圧倒的なまでの存在感、佇まいが凄まじい。
あの戸の隙間から差し込んできた陽光に、彼女達は何を見たのか。
観ていて非常に辛いし苦しいけど、多くの方々にぜひともご覧になって欲しい傑作。
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