とらキチ

フォロウィング 25周年/HDレストア版のとらキチのレビュー・感想・評価

4.7
クリストファー・ノーラン監督長編処女作。
シャッフルしなくても、サスペンスノワールとして充分に成立しそうなプロット。その時間軸を過去から未来、未来から過去へと自在に交差することによって、人間の記憶や回想なんて決して時系列通りの順序だった秩序だったものなどではないということを暗に示しているかのよう。また色彩という情報を排したモノクロームの映像は“画”そのものへの集中を促するとともに「ボーっと観てんじゃねーよ!」と監督からの挑戦状かのように感じる。
終盤、随所に仕組まれた伏線を一気に回収していく展開は、なかなか解けなかったパズルのピースが急に埋まり出した時のような快感があるとともに、その結末そのものは、ノワールらしくスカッといかない苦いもの。スカッと快感半分、不条理な絶望感半分のなんとも言えないカタルシスを味わせてくれる傑作。
劇中、主人公の家の扉に“バットマン”のステッカーが貼ってあったのは、クリストファー・ノーラン監督が、自分自身の未来を予見したものなのか。
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