たく

⻘いカフタンの仕立て屋のたくのレビュー・感想・評価

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)
4.5
芸術点が非常に高い。

三者三様の愛を、非常に高い演技力で表現している。

本能を抑えられないながら、妻を愛するハリム。
夫の本性を知りながらも、最期まで夫を愛し続けるミナ。
二人の元へやってきたユースフという若い青年との関係性も含め、非常に優れた構成だった。

ミナ役のルブナ・アザバルさん、劇中でどんどん痩せていく様は圧巻。
背中の背骨が次第に浮き上がっていくのが見て分かった。

終始静かな映画で、セリフの合間合間の表情や、また誰かを覗き見るようなカメラワークで、かなりレベルの高い演出をしていると思う。
カフタンの職人と言う設定も素敵で、ラストシーンでは悲しいながらも、鮮やかで美しい。

あとこの映画、面と面向き合って抱きしめ合うのではなく、背中から包むように抱きしめるシーンが多かった。これは自分の愛で相手を満たしてあげる、と言うこの映画の根本となる部分の表れではないか。

ちょっと日本の予告編やフライヤーの触れ込みとはイメージが違って、序盤『あれ?』という感じだったが、後半につれて徐々に引き込まれた。
たく

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