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レーチェル レーチェルの堊のレビュー・感想・評価

レーチェル レーチェル(1968年製作の映画)
4.6
松本充代作品のよう。過去と現実と妄想がワンカットで入り乱れて統合失調症的に挿入されまくる(『スローターハウス5』の速度で!)。生まれていたかもしれない子供たち、暇を持て余してトランプを続ける老婆たち、森の中へ消えていく小鳥、堕胎手術で漏れる贓物、葬儀屋の父、新興宗教の集会、教室の窓に注ぐ木漏れ日、落ち着かない子供たち、同級生からの突然のキス。感受性全開で常に涙をこらえているかのようなヒロイン、ジョアン・ウッドワードのアップにつられてこちらもずっと泣きそうになる。内面と過去が混濁した高齢処女ものということで『勝手にふるえてろ』のご先祖様なのだけれど、ものすごく69年(公開は68年)してる。全編にみなぎる覇気がすごい。ポール・ニューマン監督全部見たい。百合ではないけど海外のレズビアンフォーラムで言及されていたので。
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