いずぼぺ

薔薇の名前のいずぼぺのレビュー・感想・評価

薔薇の名前(1986年製作の映画)
4.0
久しぶりに観ることができた。
この作品のショーン・コネリーがとても好きだ。
原作がとても分厚く、大学の図書館で借りたものの片道90分の通学途中持ち歩くわけにもいかず家で夢中になって読んだ記憶がある。

舞台は中世北イタリアの修道院。最初に観た時はあまりにリアルに感じてセットだと思わなかった。
謎解きがストーリーの軸なので多くは語れない。カトリックの信仰こそが判断基準でその教義(と、思われていたもの)がルールだった時代だということ、そしてその文化の中で修道院や神学がどういう位置づけだったのかを念頭において観たほうがわかりやすいと思う。
この作品を何度も観てしまうのは、純粋に謎解きエンタメとして面白いからではあるが、繰り返し観るたびにそれぞれに割り当てられた記号を見つけることができるからではないだろうか。
記号は共通の認識を持たなければ意味をなさない。つまり共通の認識を持つための努力を行うか、新たな認識が生まれるたびにアップデートするか、他の認識を排除するかだ。これは社会のあらゆる場面で同じ構造が見られる。
この作品の中では「知」の本質やそのもの危うさを指摘しているのではないだろうか。

とはいえ、私は不勉強。素晴らしい解説をお書きになっているレビュアーさんが何人かいらっしゃるので、ぜひそちらをお読みになっていただきたい。そして新たな見解をアップしていただけることを楽しみにいたします。

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