このレビューはネタバレを含みます
黒羽麻璃央がメンヘラ製造機をしている前半は何も考えずに楽しめる
莉奈の情緒不安定ですぐ泣く、コミュ障、絶妙にダサい服、どこか不潔、身勝手、バズったツイートのまとめ本を顔出しで出版しちゃう。現実に居るよ。ただの怠惰か、発達障害か、境界知能かはわからない
そして権力の有る人に面白がられて、流されて、搾取されて、罵られて捨てられて、泣く。その繰り返し
修一は莉奈をペットのように愛玩している。自分より弱いかわいそうな存在をお世話して“あげている”という行為で、ちっぽけなプライドを保っている。離れて行って欲しくないから傷付ける事も言うけど、内容は真実
莉奈は修一のお世話と生活と愛を受けるだけで何かを返しているわけではない。ツイートしてペットショップに入り浸っているだけ
そんな共依存が、社会的地位が逆転したらお互いおかしくなって当然
主役2人も、編集者に全部書かせてふんぞり返るコメンテーター西川も、パワハラが横行している編集部に勤める人間も、倫理観で言えば生体販売をするペットショップも、誰もがまともじゃない。まともじゃ無い人達で世の中は回っている。一番まともなのは会社飛んだ、というか退職代行サービス?で辞めた森脇
「夢も仕事も無い人はダメ人間だと思いますか?」
「ダメ人間てなんなんですかね。普通とかダメとか誰が決めたんですかね。生きていればそれでいいじゃないですか」
どちらのセリフも、他人の厚意と労力を搾取している側の人間が言ってはいけない
急に怖くなるラスト。出版イベントの進行がほぼ誘導尋問。クビになった居酒屋に行ける神経と無銭飲食。踏切