二瓶ちゃん

おとななじみの二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

おとななじみ(2023年製作の映画)
3.7
わかりやすい作品を見たくて鑑賞。

東映。

【箸を使って唐揚げを食べてはいけません!】

もう約束されたようなハッピーエンドが待ってるはずだ、という既知の感覚で鑑賞。

幼馴染と大人をクロスフェード、リミックスさせた本作、制作にジャニーズの名前がなくてびびった。普段だったら藤原ジュリーKとかそういう名前あるのに、もしかして、昨今の事件が原因?

主人公だろう楓。疲れない自然体の可愛さが目に沁みる。前髪がスッキリしてるのがなんか良いなぁと思ってた。リップノイズというか、湿っぽさのある声が魅力的。「ダメ」最強。

王子様、ハル。少女漫画には普遍的と言えるだろう絵に描いたような男ではないのが非常に好感、でもしかし後述する理由のために性格的に幼い人物になっている。本当にネタでしかない一瞬のフラッシュモブシーンのダンスにおける手のしなやかさが素敵で流石アイドルという感じ。美しく見せる気がないだろう声の生々しさが良い。

そんな2人の間に①伊織。多分楓とくっついてたら、好意をいただくために無理する人物になっていたのではないかと思う。気遣いの重さはしっかり「おとな」。野口五郎の「消えたハリケーン」みたいな感じ。

そんな2人の間に②美桜。4人組の中でこのキャラだけがなんかツッコミ役に徹している印象があり、我々視聴役の代弁者。ジャニオタのキャラとしての擬人化?と思わせるほど。しかし、一番キャラとしての詰めが甘いなぁと思わせた。設定が少しふわふわし過ぎて演技に集中できなかった。

マジで言っておきたいのが、今作はティーンズ向け映画だと思う。私はキュンとする🫰シーンもあったけど、ほぼほぼアンパンマン映画と同じような感じで引いて見ていた。

仕事や恋愛、笑いの沸点に関して、完全にティーンを意識して作られているため、社会人の鑑賞に堪えうるとは言い難い。寒いで済まされないギャグも多く存在するし、フィクショナル過ぎる登場人物たちは、とても現実と遊離していて、これを真正面から浴びまくって育ったら、いつか社会に絶望する。

しかし、シネコン映画としてストーリーのわかりやすさはさることながら、容姿の良い、目の保養になる美男美女が出てくれば、同性愛やトクシックマスキュニティへの言及であったりと、今日的価値観に照らしても、油断できない作りになっており、最後はハッピーにノリノリのダンスナンバーで締めくくれる、ちょっと元気をもらえる映画だと思った。

まだ「おとな」ではない主人公たちに、「おとな」という型に縛られなくても良いのだ、という「ありのままの自分を受け入れよう」映画の一環。関係性の変化があっても、幼馴染の時のままのような二人は夢物語的だが、非常に微笑ましい。

精一杯の甘い夢を、そして明日へのわずかな元気をくれた、さらに脚本家/原作者のティーンの恋愛観/人生観への解像度の高さに敬意を表し、この評価。