いずみたつや

クリード 過去の逆襲のいずみたつやのレビュー・感想・評価

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)
3.8
完全なる「新章」。クリードシリーズが公開される度にそう思わされています。

今回はさらに明確な過去作からの脱却を目指しているように思います。というのも遂にロッキーすら画面上から消え去ってしまったからです…。

これは決してネガティブなことではなく、ある意味『クリード』シリーズが避けては通れない決別だったのだろうと思います。

今回は敵役にロッキーの姿が滲むのも示唆的です。ボクサーとしてのラストチャンスを掴もうとするアンダードッグのデイミアンは、かつてのロッキーそのものです。

またそれはクリードになれなかった、もう1人のクリードの姿でもある。

そういう意味で非常に内省的なドラマだし、ボクシングシーンのこれまでにはなかった演出も「内なるもの」との戦いを強調しています。

主演のマイケル・B・ジョーダンが自ら監督を務めた点も、『ロッキー』シリーズと相似形を成しています。

これを見て、「ああ、いよいよクリードシリーズが始まった」と改めて痛感しました。女性ボクサーの物語展開を匂わせるような娘の存在、さらには火星クリードへの期待も広がるばかり。ここから先は「SHINJIDAI」の到来ですね。