いずみたつや

ウーマン・トーキング 私たちの選択のいずみたつやのレビュー・感想・評価

4.2
女性が学ぶことを奪われ、意志を持つことを許されない恐ろしい村がそう遠くない時代にあったのか。などと思って観ていると、「そう遠くない」どころか紛れもなく「現代」の話であることが分かってゾッとさせられました。

メノナイトという特殊なコミュニティーの話である点をうまく活かして、今なお続く男尊女卑の浅ましさを強調しているところに本作の上手さが光っています。

村人たちは自責の念にかられたり、キリスト教の教えである「赦し」を尊重するために加害を許そうとしたり、支配者側の都合が良くなるように内面から蝕まれていることがよく分かります。

しかし彼女たちをどんなにコントロールしようとしても湧き上がる怒りや疑念の種火を消すことはできないし、考えて選択するという生き物の基本を取り戻していく人々の姿に希望を見ることができたのは唯一の救いでした。