このレビューはネタバレを含みます
タイ・ウェスト「地獄のハリウッド史」第二弾。
前作は70年代スラッシャー映画を下敷きに、若さへの渇望と避けられぬ老いの悲しみを鮮烈な描写で描いてみせましたが、今回はなんと『オズの魔法使い』に代表されるハリウッド黄金期を下敷きにしたアメリカン”バッド”ドリームとでも言うべき悪夢が描かれます。
夢と希望と愛に満ちたアメリカ映画最高の時代の裏で蠢くセックスと暴力と挫折の暗黒世界を掘り起こし、「古き良き時代」の化けの皮を引き剥がしていく。
オズの正体がただの人間だったように、アメリカン・ドリームは単なる幻想に過ぎないと突きつけ、シリアルキラーの誕生を高らかに告げた本作が次回作で連続殺人鬼”ナイトストーカー”の恐怖に怯える80年代へと接続されるというので、一体どんなことになってしまうのか今から楽しみで仕方ありません。