耶馬英彦

忌怪島/きかいじまの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)
2.0
 清水崇監督の作品はこれまでに「ホムンクルス」しか観ていないが、原作のユニークさと綾野剛と成田凌の怪演のおかげでとても面白かった。本作品も楽しみにしていたが、ホラー映画とは思えないほど怖いシーンがほとんどなくて、主人公が追い詰められないから緊迫感もない。

 奄美地方に伝わるイマジョ(今女?)伝説に脳科学とメタバースを掛け合わせたような作品だが、どれもが中途半端なので、全体としてとっ散らかった印象になってしまったのが残念だ。怨恨というステレオタイプの種明かしに終わってしまうのもがっかりポイントである。脚本のいながききよたかは、成島出監督の映画「ファミリア」の脚本が優れていたので、本作品は少し調子が悪かったのだろう。清水監督についても同じだ。

 西畑大吾は、映画で主演するには演技力が追いついていない。脇役陣も似たようなもので、映画としてのレベルは高くない。笹野高史だけが存在感を出していたから、この役柄を主人公にして周りを雑音にしてしまったら、もっと筋の通った作品になったかもしれない。

 本作品はありがちな失敗作として忘れて、清水監督は8月公開の映画「ミンナのウタ」、いながききよたかは9月公開の映画「almost people」に期待したい。
耶馬英彦

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