叡福寺清子

忌怪島/きかいじまの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)
3.2
映画に限らず,物語に新しい道具が取り込まれる理由は大きく分けて2つあると思います.一つは古い道具が廃れて新しいものに取って代わられる場合.例えば貞子の呪いを媒介する道具がビデオテープからネットに変化いたしました.10代の若者がビデオテープを見たことがないと言っても少しも驚きませんが,そうなってきますと時代設定が現在なら作中ビデオテープを使うほうが逆に不自然となるわけです.
もう一つは新しい道具の登場によって,新たなアイデアが浮かんだ場合.本作において,「あの世にはこの島と全く同じ島があるんじゃよ」というユタの台詞とVR空間にこの島を完コピ再現しました,という状況が繋がった時には,私は感嘆の声をあげそうになってしまいました.この優れたアイデアは,本作のみにとどまらず別の作品でも使い回しされることでしょう.
ですが,残念ながら本作にてその優れたアイデアが上手く機能したかといえば,それに対しては否定的な立場をとります.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.
もっと言うなら,VRが無くても本作は十分成立した・・・むしろ「いまじょ」さんの呪いと村八分,島の閉鎖性とそれに巻き込まれる若者という構図の方が優れた作品になってのでは・・・と思ってしまいました.まぁ個人的に人間のどす黒い醜い姿が大好きなだけって気もいたしますが.

本作には天才脳科学者が登場しましたが,当然連想するのが貞子DXのIQ200の天才女性.なんで昨今のJホラーって天才を登場させたがるのか不詳ですが,画面で説明するスキルがないから,天才さんに解説させちゃえ!って安易は発想だったら,とってもやだなぁぁ.

Jホラー,次はヒッチハイクかミンナノウタか・・・
でも本作において一番怖かったのは,トレーを何回も落として,その度にスマホのライト点灯させた阿呆なカップルじゃないかしらねぇ.圧倒的に知能が足りないんだと思いますよ,きっと.