月うさぎ

オットーという男の月うさぎのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.2
トム・ハンクスは幸せな役者だと思う。
特別にハンサムでもないし肉体派でもなく、カメレオン俳優でも肉体改造するでもなく、なのに名優でアメリカの良心と言われ愛されている。そして出演映画にはハズレなし。
この映画もとてもいい映画でした。
心が温かくなり、自然に涙します。
コメディ的要素にも声をあげて笑えます。
猫好きな方にもお勧めです🐈
トム・ハンクスが気に入ってリメイクした作品と知り興味を持ちました。
原作はフレドリック・バックマンのベストセラー小説『幸せなひとりぼっち』
スウェーデンの作品です。
 
最愛の妻を亡くし生きる希望を失ったオットー。職場での左遷的扱いにも失望して自死を決意するが、そんな矢先に人懐こいラティーノの一家。これが生活スキルが低すぎるご厄介な家族で何かとオットーを頼ってきて。と、こういう流れなら展開は読める。
しかしそれを演技と演出で面白く自然に見せていて飽きさせないうまさ。
インパクトや説明を避けディテールにこだわり役者を活かす。
オリジナルではムスリム一家だったのをメキシコ移民に変えたことが本作をとても明るいものにしている要素でしょう。
マリソルは名前の通り明るくチャーミングで強さもある女性。太陽が雪を溶かすようにオットーの心の壁を溶かしていきます。それが無理なくユーモラスに感じられるのはスペイン語の言葉の響きの明るさによるものも大きいと思います。
関西弁の漫才が柔らかくてひょうきんな印象を与えるのと一緒。
オーバーなアクションも表情もスペイン語だとやけに自然。
ビッグ・ハート♥️に大笑いして目に涙する彼女。人間性を表していてとても印象的です。
トム・ハンクスの演技に負けない迫力を感じました。
オットーの若い頃をトム・ハンクスの息子が演じているということも話題でしたが、役者ではないという通り、演技はしていませんでしたね。対人関係が不器用な人の役なので、まあいいんですけど。

それにしても妻を亡くした男性はこんなに悲しみに囚われてしまうものなのでしょうか?
夫を失った女性は割と逞しいような。
悲しみはもちろんでしょうが囚われ方が違うというか。

泣けるとか別に私は期待してないんです。
I miss you.
そんな気持ちになれる時、涙は勝手に流れるんですから。
月うさぎ

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