くろきつ

オットーという男のくろきつのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.5
妻に先立たれてから不幸な日々を送るオットーのもとに若い家族が引っ越してきた。少しフレンドリー過ぎる彼らとの出会いが、オットーの人生を大きく変えていく…。

ハンネス・ホルム監督のスウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」のハリウッドリメイク作。
トム・ハンクスが演じたのは頑固で無愛想な男オットー。曲がったことが嫌いでルールを守らないやからにはきつい言葉を投げつける。そんな彼の若い家族と出会ってからの変化が見所。人が支え合って生きていることを実感させられる映画だった。印象に残ったのは駅のホームでのシーン。ふらつき線路に落ちてしまった男をオットーは助けるのだが、そのとき周りにいた人はみんなスマホでその状況を必死に撮影したりレポートしたりしていた。もちろんオットーもその光景には呆れてしまっていた。原作とは違うところで今の社会問題が取り上げられているのがよかった。自分が思い詰めて線路に飛び込んだとき、誰も手を差し伸べずに線路に突っ立っている自分に対してカメラを向けてきたらどんなに恐ろしいか。とことんこの社会に失望してしまいそう。
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