"君がいない世界"
偏屈おじさんが織りなす、ご近所さんとのハートフルドラマ。
町の嫌われ者で頑固な男オットー。真面目さゆえ、曲がったことが大嫌いなオットーは、ルールを守らない住民に説教を垂れ、毎日近所をパトロールして周る面倒で近寄り難い人間だった。
だが、オットーは最愛の妻に先立たれ、仕事も失い、人生の目的を見失っており、人知れず自らの人生を終わらせようとしていた。
そんなある日、向かいの家に越してきた陽気な女性マリソルとその家族に出会った事で、彼の人生は転機を迎える…。
スウェーデンのベストセラー小説を映画化した『幸せなひとりぼっち』をトム・ハンクスの主演でリメイクした本作。
陽気なお向かいさんと出会った事で、オットーの心境に変化が訪れ、心の隙間が埋められていく。
最愛の妻を亡くしたとはいえ、周りを見渡せばオットーを支えてくれる多くの友人や理解者がいることに気がつく。人とのコミュニケーションを通してオットーのメンタルは次第に前向きに変化していく。
本作はこれといって目新しい展開が用意されているドラマではないが、人生を前向きに捉えることの大切さを知ることができる作品であった。
作品で語られるメッセージは、現代においてはシンプルでありきたりなメッセージとも取れるが、トム・ハンクスの演技を見ているとやたらと説得力があり、胸に響く。