萩原くわがた

ウィッチスターズ 流星からの寄生体Xの萩原くわがたのレビュー・感想・評価

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娼婦とヤクでパーティを始めんとする主人公たち。しかしその参加者の1人に”寄生体”がとりついついて…というオーソドックスな本筋だが、物語の主柱にしっかりと絡みつく登場人物達の苦い友情や信念、愛、裏切りの物語が本作を第一義で盛り上げる。

作品を包む情熱的なBGMや散りばめられた悲鳴、コミカルな効果音が印象的。とにかく音が喚き響く作品で賑やか。
主人公が周囲を見渡すだけでヒュンヒュンとSEがなりカメラワークが何度もカッ飛ぶ。加えて盛んにカットが切り替わりスピーディに物語が走り回るこの独特の雰囲気が楽しい。空白のないキャンバスの絵のよう。
不思議と見づらさは無く計算された忙しなさという感じでごちゃごちゃのように見えて綺麗にシーンが進んでいく。


意外だったのはストーリー展開がかなりエモかった所。「見せ物ゴアムービーだ!」とワクワクして本作のブルーレイに飛びついたんだけど、全然期待していなかった部分で予想以上に加点させられた。キャラクター同士の確執が見事な演出でじっくりと描かれ、クリーチャーパニック描写と見事に絡みながら結末をしっかりと見せてくれる。

コメディも合間合間に細かく詰め込まれていて、きちっと作中全ての時間一分一秒にエンタメ性が感じられるのが良い。
他にもゴア描写に力を入れつつダイナミックな画面効果も併用することで低予算をカバーし、従来のインディーズゴアムービーから一歩踏み出た面白さの獲得に成功している。とにかく製作者の妥協無きサービス精神が随所に感じられてすごく楽しませてくれる映画だった。


登場人物のTシャツがやたらアクが強かったり、ギャグのくだらなアホさ加減がとんでもなかったりとインディーズならではの面白要素も満載なのでそこもしっかり楽しかった。