むらたろう

ゴジラ-1.0のむらたろうのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

多少ご都合主義な箇所はあるが、だってそれが映画作品だもの。と個人的には受け流すのが好き。

作中で太平洋戦争を経験した人物が「戦争を知らないことは幸せなこと」と若者に低い声色で告げたシーンが私の中で特に印象深かった。
いつだって生きているその時代が1番苦しい。しかし戦後生まれの私には人が目の前で死んでいく姿、自分が始めたわけではない争いに巻き込まれて力無く死んでいく経験をした事がない。70年以上前の歴史として机上で学んだだけ。だがそれがいかに幸せなことなのか、それを噛み締めなければならない。
勿論、その幸せを噛み締めるだけでは先人たちに合わせる顔がないというものだ。

この映画の「生きて抗う」というコンセプトが作品の時代背景と重なり、荒廃した日本をもう一度立て直す、生き残ったからには次世代に必ず繋ぐという気概が垣間見えて物語に没入し易かった。
ただ1つ、主人公の周囲の人間たちの感情や考え方の揺れ動きを観たかったようにも思えた。尺的な問題で仕方ないとは思うが、壮大なコンセプトのわりには主人公を取り巻く者たちについてはさらーっと流した印象があった。

初代ゴジラやシン・ゴジラなどと比較されて絶賛されているが、個人的にはいずれも良い作品で好きだ。それぞれの時代背景に合ったゴジラの立ち位置や捉えられ方が異なっていて好きなので、また他作品も鑑賞し直してみようかな。

久々に楽しい映画を観た気がする。
むらたろう

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